忙しい現場の味方。Google Keepで作る「パーソナルWiki」で、ケアの質を劇的に上げる方法
「あの利用者さん、好きな歌はなんだっけ?」「昔、どんなお仕事をされていたんだっけ?」
ふとした会話のきっかけや、ケアの手がかりになる大切な情報。
忙しい業務の中で、「あとで記録しよう」と思っていたのに忘れてしまったり、申し送りで伝えきれずに流れてしまったりすることはありませんか?
通常の介護記録ソフトは「バイタル」や「食事量」などの身体情報を残すのには優れていますが、その人の「趣味・性格・こだわり・人生の歴史」といった「その人らしさ」を残す場所としては、少し使いづらいのが現状です。
そこで今回ご紹介するのは、無料アプリ「Google Keep(グーグルキープ)」を使って、利用者さん一人ひとりの「パーソナルWiki(取扱説明書)」を作る方法です。
難しい設定は一切不要。スマホのメモ機能を使う感覚で、チーム全員のケアの質が劇的に変わります。
Google Keepとは?なぜ介護現場に向いているの?
まず、「Google Keep」について簡単に解説します。
Google Keepとは?
Googleが提供する無料のメモアプリです。紙の付箋(ふせん)を貼るような感覚で、テキスト、写真、音声を直感的に保存・整理できるのが特徴です。
「ただのメモアプリでしょ?」と思われるかもしれませんが、実は介護現場と相性抜群の機能が揃っています。
- 検索が爆速: 「〇〇さん 趣味」と検索すれば、過去のメモが一発で出てきます。
- 写真が貼れる: 昔の写真や、ご家族が持ってきた思い出の品を画像で残せます。
- 音声入力が優秀: 記録入力が面倒な時も、スマホに向かって話すだけで文字になります。
- 共同編集ができる: 1つのメモをチーム全員でリアルタイムに共有・編集できます。
つまり、「みんなで書き込めるデジタル連絡帳」が、無料で手に入るのです。
個別ケアが加速する!「パーソナルWiki」を作る3つのメリット
Google Keepを使って、利用者さんの「その人らしさ」を集めたページ(=パーソナルWiki)を作ると、現場にはこんな変化が訪れます。
1.会話の引き出しが増え、信頼関係が深まる
新人スタッフや、普段担当しないスタッフでも、Wikiを見れば「〇〇さんは相撲がお好きなんですよね?」「昔、大工をされていたんですね」と、その人に刺さる話題で話しかけることができます。
2.「不穏」や「拒否」への対応策が見つかる
「入浴拒否がある時は、この歌を歌うとスムーズ」「食事の席順は〇〇さんと離した方が良い」といった、ベテラン職員だけが知っている「暗黙知(コツ)」を記録として残せます。対応の正解を共有することで、スタッフの心理的負担も減ります。
3.情報の「言った・言わない」がなくなる
口頭の申し送りだけでは、どうしても情報は抜け落ちます。クラウド(ネット上)に保存されるGoogle Keepなら、「あの時共有しましたよね?」というトラブルを防ぎ、いつでも誰でも情報を確認できます。
今日からできる!Google Keep活用 4ステップ
それでは、実際に「パーソナルWiki」を作る手順を解説します。スマホ(iPhone/Android)でもパソコンでも操作は同じです。
- Step1: 利用者ごとの「ラベル」を作る
- Google Keepにはフォルダの代わりに「ラベル(タグ)」という機能があります。
まずは、利用者様のイニシャルやニックネームでラベルを作成しましょう。
左上のメニュー(≡) > 「新しいラベルを作成」 > 「K・T様」「Y・S様」などと入力。
- Step2: 「その人らしさ」をメモしてラベル付け
- 何か気づきがあったら、メモを作成します。
タイトル: 「好きなこと」
メモ: 「あんパンが大好き。こしあん派。」「美空ひばりの『川の流れのように』で笑顔になる。」
ラベル: 先ほど作った「K・T様」のラベルを選択。
- Step3: 色分けで直感的に管理する
- メモには背景色をつけることができます。チーム内でルールを決めておくと、パッと見て内容が分かります。
黄色: 基本情報(元職、家族構成など)
赤色: 注意事項(NGワード、アレルギー、転倒リスク)
青色: 好きなもの(趣味、食べ物、音楽)
緑色: 成功事例(こうしたら上手くいった!)
- Step4: チームを「共同編集者」に招待する
- これが最も重要です。自分だけのメモにせず、スタッフ全員を招待しましょう。
メモの下部にある「︙(メニュー)」 > 「共同編集者」 > スタッフのGoogleアカウント(Gmailアドレス)を入力。
これで、全員がスマホからその情報を閲覧・編集できるようになります。
おまささん監修|導入・運用で失敗しないための「3つの鉄則」
ここでは、タダカヨのICT専門家・おまささんの視点から、現場で導入する際に気をつけるべきポイントを解説します。
💡 鉄則1:個人情報は「イニシャル」で守る
おまささん:
「無料ツールを使う時、一番気になるのがセキュリティですよね。万が一スマホを紛失した時のために、利用者様の実名(フルネーム)は入力しないのが鉄則です。『K・T様』や、施設内での『ニックネーム』で運用しましょう。また、端末自体のパスコードロックも忘れずに!」
💡 鉄則2:「申し送り」とセットで活用する
おまささん:
「ツールを入れただけで、みんなが見てくれるとは限りません。朝礼や申し送りの時に『さっきKeepに書いたんですけど、〇〇さん実は…』と、Keepの画面を見せながら話す習慣をつけましょう。『あ、ここに書いておけばみんなに伝わるんだ』と実感できれば、自然と利用率は上がります。」
💡 鉄則3:完璧を目指さず「雑記帳」として使う
おまささん:
「最初から『全員分の情報を完璧にまとめよう』とすると挫折します。まずは『ケアが難しい方』や『新規の方』1〜2名からスタートでOK。文章も箇条書きや単語だけで十分です。『気づきのメモ帳』くらいの軽い気持ちで始めてみてください。」
まとめ
介護の質は、利用者さんの「その人らしさ」をどれだけ知っているかで決まります。
高価なシステムを導入しなくても、Google Keepという身近な無料ツールを使えば、ベテランの知恵や日々の小さな発見を「チームの財産」に変えることができます。
「あの利用者さんの笑顔、最近増えたね」
そんな会話がスタッフルームで増えるよう、まずは一番身近なスマホから、情報共有の形を変えてみませんか?
タダカヨからのお知らせ
「Google Keepの使い方がもっと知りたい」「ウチの施設で使えるか相談したい」という方は、NPO法人タダカヨの無料ICT相談をご利用ください。現場経験豊富なメンバーが、皆様のお悩みに寄り添います。

