AIでケアプラン作成を効率化!大阪市平野区の「出張タダスク」事例に学ぶ介護DXの第一歩
介護現場の「時間不足」を解決する切り札、AI活用の現在地
「スタッフがこれ以上増えない」「書類業務に追われて利用者と向き合う時間が削られている」……。今、日本の介護現場が直面している最大の課題は、この圧倒的な「リソース不足」ではないでしょうか。
こうした状況を打破する鍵として注目されているのが「AI(人工知能)」の活用です。しかし、「難しそう」「現場で本当に使えるの?」と、導入に踏み切れない方も少なくありません。
本記事では、2026年2月に大阪市平野区の介護保険事業者連絡会の居宅介護支援事業所研修グループの主催で開催された「出張タダスク」の事例を紹介します。AIを活用することで、どのようにケアプラン作成の負担を軽減し、本来大切にすべき「対人援助」の時間を取り戻せるのか。74名のケアマネジャーが体験した、驚きと変化の舞台裏をお届けします。
スタッフが増えない現実。なぜ今、平野区でAI研修が必要だったのか
今回の研修が企画された背景には、「介護業界の人材不足はもはや避けられない現実である」という強い危機感がありました。
大阪市平野区のケアマネジャーたちは、日々膨大な書類作成に追われています。スタッフが増えない以上、一人ひとりの業務密度を下げるしかありません。企画段階では、「AIにケアプラン作成の補助を任せることで生まれた時間を、利用者さんへの直接的な支援に充てたい」という切実な想いがありました。
「テクノストレス(ITへの苦手意識)」を感じている職員が多い中で、いかに「これなら使える!」という実感を持ってもらうかが、今回の出張タダスクの大きなテーマでした。
体験型ワークショップ「出張タダスク」の内容と現場の熱量
研修は2時間の構成で、ただ話を聞くだけではない「体験型」にこだわって実施されました。
座学から実践へ:GeminiやChatGPTで変わる書類作成
まずは30分間の座学で、生成AI(Geminiなど)が具体的に何ができるのかを解説しました。「写真加工で遊ぶものだと思っていた」という参加者も、AIを使用したケアマネジャー業務の活用するデモを見て、その実用性に目を見張っていました。
少人数グループによる「触れる」体験
後半は、6つのブースに分かれ、 具体的な操作を体験しました。現場で実際に使っているスマホやタブレットを使い、「自分の業務がどう変わるか」をその場で体験していただきました。
- Googleアカウントの登録方法:全ての基本となるアカウント作成をお手伝い。
- AIの基本的知識:AI(人工知能)」の仕組みをわかりやすく解説します。
- 音声入力の方法:外出先でのメモや、長文作成の負担を減らす「新しい執筆スタイル」の体験
- OCRの方法:お手元の紙書類をスキャン(写真を撮影)して、一瞬でデータで文字化に変換。アナログからデジタルへの切り替えをスムーズにします。
- AIの応用活用:バラバラなメモを整理したり、録音データから担当者会議の要旨を作成したりと、事務負担を軽減。
- なんでも相談:「操作がわからなくなった」「自分の業務でどう使えばいいか個別で聞きたい」など、どんな些細な悩みでも一緒に考えます。
「苦手意識が楽しさに」参加者74名が感じた劇的な変化と課題
研修後のアンケートでは、74名の参加者から驚きと期待の声が寄せられました。
「天と地が逆さまになる驚き」
「今までICTから目を逸らしていましたが、その凄さを感じた」「天と地が逆さまになるくらい驚いた」といった感想が象徴するように、多くのケアマネジャーにとってAIは「魔法のようなツール」として映ったようです。
テクノストレスの緩和
「毎日テクノストレスになっていたが、今日は少し緩和された」という声もありました。使い方がわからず不安だったツールが、自分を助けてくれる「味方」であると認識が変わった瞬間です。
今後の課題:実践への定着
一方で、「操作はわかったが、自分の実務にどう繋げるかが課題」「もっと時間が欲しかった」という意見もありました。一度の研修で全てをマスターするのは難しく、継続的な学習と、事業所内での活用ルールの検討が必要です。
AIは「利用者と向き合う時間」を取り戻すための道具
大阪市平野区での事例が示したのは、AIは決して人間を置き換えるものではなく、「人間が人間にしかできない仕事に集中するための道具」であるということです。
AIに下書きを任せることで、ケアマネジャーは「この利用者さんにとって本当に必要な支援は何か?」を考える、よりクリエイティブで温かい対人支援に時間を使えるようになります。
あなたの地域でも「出張タダスク」を体験しませんか?
「自分の地域でもICT研修をしたい」「AIを導入したいけれど、何から始めたらいいかわからない」という自治体・連絡会・法人の皆様へ。
NPO法人タダカヨでは、全国の介護現場へICTの専門家を派遣する「出張タダスク」を実施しています。現場の皆さんの不安に寄り添い、明日から使えるスキルを丁寧にお伝えします。
まずは、あなたの現場で「一番時間がかかっている書類」を教えてください。タダカヨのオンライン相談や過去のセミナー資料から、解決のヒントがきっと見つかります。
本記事の執筆者:NPO法人タダカヨ「出張タダスク」レポートチーム

